特集 呆けの老人と家族が求める地域看護—呆け老人をかかえる家族の会・千葉支部の活動を通して
家族の学び,看護者の学び そのダイナミクス
塚田 和子
1,2
1東京都中央保健所
2千葉大看護学部
pp.1137-1144
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920899
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
興味を持った,介護者の心理的葛藤と介護の受容過程
初老期老年痴呆は40,50歳代に好発する回復不能の脳の器質性疾患で,既に初期から場所の失見当識が目立つが,かなり後期まで病識を有し,その場に応じた人との対応能力が保たれる特徴を持つ.このような患者の配偶者は,高齢期に発病する痴呆老人や寝たきり老人とはまた異なる介護上の困難を,長期間にわたって抱えなければならない.
私が在宅の老人看護に興味を持つようになったのは,千葉大学看護学部に在籍していたころで,ちょうど‘呆け老人をかかえる家族の会・千葉支部’や学内の研究サークル‘老人問題研究会’が発足した時期と一致している.それらへの参加を通して老人看護の現場にふれる機会がふえ,配偶者が心理的葛藤を調整しながら介護を受け入れていく過程に強い関心を抱くようになった.そこで,自分の研究テーマとしてこの問題と取り組むことを決め,看護学部で電話相談をしている中島助教授の紹介で,ボランティアを求めているケースと出会う機会を得た.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.