焦点 寝たきり老人の看護に関する研究[2]
研究
要介護老人と家族のダイナミクス
溝呂木 忠
1
1緑成会病院・緑成会整育園リハビテーション部
pp.525-533
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900103
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はじめに
人はひとりぽっちでは生きられない。喜びゃ苦しみを分かち合ったり,相談する相手を求めている。その相手というのが友人であったり,神であったりすることもあるだろうが,中でもそれが家族である場合が最も多いのではないだろうか。この「ともにあるもの」の存在は,困難や危機に直面した人がそれを乗り越える時にとても人切なもので,「自己-対象」と呼ばれて,精神分析でも注目されているという1)。
家族の小規模化,核家族化が進行する中で,家族が本来持っていた諸機能はどんどん外化していき,福祉サービスとして整備されつつある。最も遅れている介助(介護)機能に対するサービスも進み,家族がそうした労働から解放される日も遠からず来るに違いない2)。しかし家族の人間的な絆の部分はいろいろな形で純化され,最後まで残るであろう。
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