特集 呆けの老人と家族が求める地域看護—呆け老人をかかえる家族の会・千葉支部の活動を通して
発病の初期に家族が期待する援助者の役割—看護学生が訪問活動から学んだこと
工藤 禎子
1
,
北川 公子
1
,
赤池 孝子
1
,
松原 朋子
1
,
味酒 利恵
1
1千葉大学看護学部
pp.1131-1136
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920898
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訪問活動を開始した学生サークル‘老人問題研究会’
呆け老人と一言に言っても,その症状や程度は様々である.特に呆けの初期段階においては,家族は,将来設計が覆された不満や介護方法がわからないという不安,あるいは,呆けを修復しようと何らかの手だてを考えても家族の意思がまちまちであるなど,大きなストレスの渦に家族全員が巻き込まれている.老人の身体に障害がないために,どこに援助を求めていいかわからないことや,他方,医療者側にとっても,初期の呆け老人は把握しにくいし,把握できたとしても,どんな援助をしていけばいいのかわからないという問題が起きているように思う.
1982年春,中島紀恵子・千葉大学看護学部助教授を顧問に,‘呆け老人をかかえる家族の会’の学生ボランティアサークル‘老人問題研究会’(以下,老研と記す)が誕生した.メンバーは千葉大学看護学部の学生10余名で構成されている.老研は学習会や特別養護老人ホームでの実習を重ね,1年半ほどである程度の経験を得た.このため,得た技術や知識の活用や,呆けの老人とその家族の様子を知り援助することを目的に,1983年10月より3例の訪問看護を開始した.いずれも中島先生が,呆け老人を抱える家族のために開設した‘電話相談’からの紹介である.
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