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特集 クロマチン
クロマチンのダイナミクス
Dynamics of chromatin
木村 宏
1
Hiroshi Kimura
1
1東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部形質発現制御学
pp.166-170
発行日 2003年6月15日
Published Date 2003/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100741
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近年,多くの生物種でゲノム塩基配列が決定されてきたが,「ポストゲノム」研究の一つの重要なテーマはそのゲノム情報がどのような機構で正確に維持,複製,発現するかを解明することである。ゲノムの一次情報を担うDNAは,裸で生物内に存在しているわけではなく,そのリン酸基のマイナスチャージを打ち消すように塩基性タンパク質と複合体を形成し,コンパクトな構造を取って存在する。その塩基性タンパク質は真核生物においてはヒストンであり,DNAはヒストンオクタマーとともにクロマチンの基本単位であるヌクレオソーム構造を取ることが知られている。クロマチンは細胞内でさらに高次構造をとり,そのクロマチン高次構造さらに核内微細構造が遺伝子発現をはじめとしたゲノム機能の制御に重要な役割を果たしていると考えられる。その高次構造の詳細やダイナミクスについては,従来全く不明であったが,近年の顕微鏡技術の発達により,安定であるがダイナミックなクロマチン像が浮かび上がってきた。
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