グラフ
医療者と患者が一緒に治療に向かう—バリント方式による治療を試みる小倉病院心療内科
永田 勝太郎
1
,
岩下 守
,
本誌
1小倉病院内科
pp.496-501
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920764
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北九州市立小倉病院心療内科を訪れる患者は様々である.慢性的に腹痛がある若い女性,高血圧や胸痛が続く中年の男性,性生活がわずらわしくなった中年女性,頭痛がとれない若い母親,不眠を訴える老人,みな一通りの検査をしても,原因がうまくつかめない患者たちである.
自動血圧・血流計を使いながら,患者の訴えを聞いていく.外来での限られた時間で,一番訴えたいことを聞きとり診断を下す.しかし,訴えの背後にある患者の様々な問題を瞬時に判断し,的確な診断,治療方針を出すことはとても難しい.何日か通ってもらったり,入院したりして,その持っている問題を治療者の側から探ると同時に,患者自身がその原因に気づくよう面接,治療を続けていく.そのような過程で,治療上の困難な問題が,治療側と患者との関係にあることが明らかになることもある.
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