特別記事
バリント方式による末期患者への取り組み—福岡バリントグループの経緯と現在の活動状況
阿蘇品 スミ子
1
1久留米大学医学部看護学科
pp.1111-1115
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905233
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昭和55年,その当時は,がん=死の思いは非常に強いものであった.がん患者に病名を聞かれたらどうするか,患者の側に行くのが恐い,避けたい,告知はしない方がよい,医師は患者に薬は出しても患者の側には行かないなどと,がん患者の看護をどうしたものかと頭を痛めていたものである.そんな折りに,死の臨床を考える会をつくろうではないかと呼びかけがあり「末期がん患者のケアについて」,事例検討や抄読会などを入れながら始めた.その後,紆余曲折もあったが,早16年になる.
当初は症例検討(現在事例検討)と言っていた.検討の内容も,患者にとって何が大切かというよりも,この患者の医師は不在ではないか,治療方針は,検査はどうなっているのか,看護計画は,患者の情報は,などの意見交換が強かった.話題提供者は,日々努力しているが,より良い看護をと話題提供しているのに,辛い思いをしていたようであった.その後,事例検討では,池見・永田によるTPEG1)(表)を使用した.それにより,今何が問題か,何ができるかと検討していくことで問題が整理できたり,看護の方向が具体的に見えてきた.
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