特集 病院と麻酔科
病院の麻酔科活動をみる
社会保険小倉記念病院
宮本 茂
1
1社会保険小倉記念病院,麻酔科
pp.36-39
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205725
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はじめに
病院麻酔科活動の実際の特集を機会に,古くからそのことに興味をもってこられた,広島大学盛生教授の編集になる『麻酔と蘇生』を読み返してみると,思いあたることが数々記載されていることを再確認した.
東大山村教授は,麻酔科が医学の一分科として,広い方面に重要な役割を演じていることを示すことは結構であるが,主な役目はあくまでも患者の状態管理であることを忘れてはならない.たとえばPain Clinicに力を入れるあまり,本来の麻酔ができないという状態にでもなったら,それは悲しいことである.また,若いすぐれた医学生を麻酔科に引き入れるためには,麻酔は技術だけではないことを十分に知らしあるべきである.スウェーデンでは,研究室に学生をつれて来て教育したことが,麻酔に興味を持たせるために大変効果があった.ただ,研究をするには,それに必要な人員,時間ならびに金が必要である.研究まで含めて,診療,教育を1人の教授で統括するのはなかなか大変で,臨床教授,研究教授といった2本立てのシステムも真剣に考えるべきである.昔Collinsは,麻酔科医はサラリーで働くべきでないと言っていたが,これも現状を打破するひとつの方法と考えてもらいたいとし,group practice制度による病院麻酔請負い制度を1967年に示唆している.
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