心病む人とともに 精神科病棟での日日・8
自殺
三宅 富貴子
1
1東春病院看護部
pp.926-927
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919920
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酒
ストレスの解消?それとも……
いつのころからか“大酒飲み”のレッテルをはられた.飲んでもあまり変わらないかららしい.‘防衛的で抑制が強く,酔うまいとして飲むから酔わないのだ’と言われることがある.そんなことはないと否定してみるけれど,案外当たっているのかもしれない.お酒は私にとってひとつのストレス解消法である.だれにでも仕事上のストレスはある.まして生身の人間相手に張りつめた気持ちが続けばなおさらのこと.患者との,あるいは同僚,上司とのちょっとした気持ちのズレも私には大きく響く.‘それはあなたの強迫的性格のせいだ’と友人に指摘されるまでもなく,自分でもよくわかっている.わかっていてもなお許せない心の狭さに自己嫌悪に陥ることもたびたびである.そんな時飲む相手をしてくれる気のおけない友人がいるのはありがたい.職場の雰囲気も患者さんのことも,そして私の性格までもわかっていてくれる人に,酒を飲みながら思いのありったけをしゃべってしまうのは絶好のストレス解消法である.酔わないと占いながら,こういう話ができる時は案外酔っている時かもしれない.
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