ナマステ!ネパール・3
自然の中で生きる人々—その暮らしと生死観
秋田 智枝
pp.346-349
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919822
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パスパティナートで見た火葬
パスパティナートを再び訪れました.道の両側にお土産屋さんが並び,日本のどこかの神社を訪れたような感じと似ています.でも,日中で暑かったせいか,特に呼び込みをするでもなく,店によっては,主人がゴロンと品物の横で昼寝をしたりしています.きちんと店舗を構えているわけではなく,日本での祭りの時のように,道に品物を並べて売っています.パスパティナートはヒンズー教の寺院で,ヒンズー教徒以外は中へ入ることはできません.門の入口から中をのぞきこむだけです.中には,金色の大きな牛がドンと座っています.私が突っ立って見ていたら,ヨレヨレの服のおじさんが寄って来ました.‘タスビール・キチェパニ・フンツァ?’(写真を撮ってもいいですか?)と聞くと,ネパール語が話せると思ったのか,ペラペラとネパール語で説明をしだしました.私が歩きだすと,このおじいさんもついて歩いてきます.しばらく行くと,大きな建て物がありました.聞くとレプラ(らい)の人の収容施設だという答えが返ってきました.たしかにこの周辺にいる人たちの数人は,腕がポロッとなかったりしています.
ぶらぶらと歩いていたら,後ろからヒタヒタと足音がしてきました.多くの人は,はだしなのでぴたぴたヒタヒタという感じで歩いています.振り向くと,思わずうっと息が止まりました.
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