増刊号特集 1.博士論文を書くということ─あのときの問いといまの問い
人々の日々の暮らしと健康へのまなざし
駒形 朋子
1
1千葉大学大学院看護学研究科
pp.311-314
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100923
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あのときの問い
どんな暮らしをしている人がこの病気にかかっているのか
問いの始まりは,全くの異文化であるパキスタンの日常生活だった。
「看護師でも,男性患者には優しくしてはいけない」
「マンゴーは熱い食べ物,ナスは冷たい食べ物」
「北向きの日の射さない,風の通らない家がよい家」
職場で,家庭で,町の市場で,理解できない事象や文脈に遭遇しない日はなく,それらにはしばしば困惑させられもしたが,パキスタンの一般家庭で家族の一員として暮らし,彼らの民族としての歴史や宗教,文化,政治や社会の状況を理解するにつれ,さまざまな疑問は氷解した。この経験から日常生活とその背景の理解なしには,適切なケアはできないことを実感し,「人々の暮らしぶり」に強い興味をもった。
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