ホームヘルパー跳びある記・9
山村,その風土に生きる人々
星 美代子
pp.962-964
発行日 1977年9月1日
Published Date 1977/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918224
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晴天続きのある日の昼前,荒川の向こう岸で火事があった.そこは断崖の上にあって村でいちばん交通の不便な過疎地である.折からの強風で水の便のよくない山あいの1軒家は,あっという間に燃え尽きてしまった.
焼け出された家族は,今春40代の夫を胃癌で失ったばかりの妻とその子,老母の3人であった.まだくすぶっている焼け跡の背後の山の木々は茶色に焦げ,白昼の光にさらされている様は痛々しいものであった.
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