連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・31
フィリピンの伝統的な民間療法と人々の暮らし
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.920-921
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100423
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ここでは病気になると,伝統的に民間療法や悪魔祓いなどを活用している。患者自身が病院で診療を受けながら,他の療法も同時に行なうのはごく当たり前のことだ。彼らが全く違う文化,価値観を持っていると実感する出来事は,時々私のクリニックでも起こる。
精霊を慰めないと…
深夜にお産したウージャンが,朝方「胃が痛くなった」と私を呼んだ。小さなお産部屋ではウージャンを囲んで,母親と数人の知り合いが心配顔でいろいろと治す手段を考え実践している最中だった。私は彼らから状況を聞きながら,全身冷や汗で冷たくなっているウージャンに薬を飲ませた。薬はやがて効くだろうが,まだ苦しんでいる彼女を放って帰ることも心配なので,背中をマッサージしながら経過を見守ることにした。
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