連載 今,なぜ戦後医療技術史か・7
高度医療と生死観[1]
上林 茂暢
1
Shigenobu KANBAYASHI
1
1みさと健和病院内科
pp.923-929
発行日 1992年10月1日
Published Date 1992/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900208
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現代の生死観とその背景
生死観が,今日,新たな社会問題になってきた.このようなテーマが取り上げられ,関連の図書も急速に増え,一種のブームの感じさえする.これらは関心の深さを示すものといえるが,その背景には高齢化社会の到来も関係していよう.
戦後,平均寿命は大幅にのび,1983年以来わが国は世界一の長寿国になった(男76.11歳,女82.11歳,1991年).“人生50年”といわれた戦前・戦中とちがい,定年後の生活(家族との関係・年金・暮らし),生きがいを考えざるをえなくなる.また,年齢を感じさせない高齢者も多いが,程度の差はあれ病や障害をともなってくるのも否めない.多くの調査で病気と医療が老後の最大の関心事になっている.
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