特集 看護(みまも)る心の原風景を見つめて
私の出会った患者からの学び
飯田 裕子
1
1虎の門病院看護教育部
pp.164-168
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919782
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はじめに
私はこれまで,患者さんをはじめ多くの人びとと接し看護する中で,様々な喜びや悲しみを感じてきた.ある時は自分の未熟さを知らされたり,時には自分は看護婦としての適性がないと思い悩んだりもした.採血がなかなかうまくできずに患者さんを怒らせてしまったり,死にゆく人に何もできないと自分の無力さに涙を流したり,度重なるナースコールに苛立ちを覚えたり,多くの場面,多くの人びとの顔や言葉が浮かんでくる.しかし,年月を経た今は,その時悔しかったり,悲しかったことが,現在の私にとってとても大切なものになっているということに気がつく.そして,看護を続けてきてよかったと心から思う.
数多くの患者さんとの触れ合いの中から,私に向かって‘ダメナース,ボケナース’と言ったLちゃん,無口な中にも意味ある大きなことを知らせてくれたJ子さん,‘再入院してきて,知っているナースに声をかけてもらうと,とてもうれしい’と言ったKさん,私の進むべき道を示してくれたNさんを通して,私の行ってきた看護を振り返ってみたいと思う.
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