研究と報告
看護における死後の処置
藤腹 明子
1
1滋賀県立短期大学看護部
pp.562-567
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919555
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はじめに
今日,病院は人間の生老病死をめぐって生じる,直接的な身体や精神面の危機を一手に引き受けている.それに伴い病院死の傾向も次第に広がり,看護者が患者の臨終に立ち合い,死後の処置を経験する機会も極めて多いと思われる.
ところで,不幸にも死の転帰をとった患者に行う最後の看護行為である死後の処置を,看護者は日頃どのように受けとめ,どのような態度で実施しているのだろうか.近年,医療・看護の場においても,臨死患者へのアプローチの方法を問おうという積極的な姿勢が見られるようになってきている.しかし,いずれも死にゆく患者へのアプローチの方法として,死亡宣告までの対処に関するものがほとんどである.臨死患者への援助行為については,死後の処置までも含むものであると解釈したい.ここでは,医師による死の確認直後の処置(以下,本論では〈死後処置〉と称する)を中心に,死後処置をめぐる看護者の意識と行為から,看護における死後処置の意義と機能について考察する.方法としては,滋賀県下の3病院に勤務する274名の看護者を対象に実施したアンケート‘死後処置,およびそれに伴う儀礼についての意識と行為’による.
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