特集 死後のケア—基本技術と家族への配慮
臨終のケアの延長としての「死後の処置」に関する考察
大島 弓子
1
1山梨県立看護大学
pp.117-121
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903662
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亡くなった方との対面で感じること
あらためて「死後の処置」を考えてみよう
何度か大切な人との別れを体験してきたが,亡くなったその人の顔を見るとさまざまな思いがこみあげてくる.肉親,友人,知人,それぞれ今までともに過ごしてきたことを思い出し,今,別れなのだと胸に迫ってくる.そのなかで亡くなった人の顔が安らかであることは,その悲しみをいくらか癒してくれる.しかし,その顔が安らかに見えないとき,たとえば,目が半分開いていたり,鼻に詰めた綿が見えたりすると悲しくなるとともに,思わずどうして? と看護職の思いに戻り腹立たしくもなる.特に病院で亡くなり,看護職が「死後の処置」を行なったであろうと思うとき,その技量の低さにがっかりさせられ,やるせない思いにかられる.亡くなった人の顔は,残された家族(家族と同様の存在の人も含む).友人,知人にとっても,その人の最後の顔として思い出に残る.その姿が安寧な状態だと少しでも悲しみが癒される.そのケアとして「死後の処置」が存在していると思われる.
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