特集 患者の死後,看護婦は……
死後の処置マニュアル
川島 みどり
1
1臨床看護学研究所
pp.970-975
発行日 1990年10月1日
Published Date 1990/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900229
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日本人の死に対する観念は,ヨーロッパの人々と大分違う.『切腹』という名の自殺が名誉ある死とされてきた伝統は,第二次世界大戦の敗戦に至るまで『死』を美化してきた.そして,遺体をすぐさま灰にしてしまうことに躊躇せず,そのことが火葬の普及を早めたともいわれる.生も死も肉体とは切り離せない欧米とは異なる点である.
このように,人間の死に対する受けとめ方は,歴史や文化や宗教と大きく関係している.そして当然,死後の処置の方法にも影響してくる.遺体との対面に重きをおく欧米では,当然,その処置の目的は,化学的な処理による防腐的保存になろう.うっ血による変色なども防ぎ,できるだけ自然に見えるようにすることが重要となる.
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