喫煙の生理・衛生学・7
喫煙時の血液
浅野 牧茂
1
1国立公衆衛生院生理衛生学部
pp.213-216
発行日 1982年2月1日
Published Date 1982/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919478
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喫煙によるニコチン吸収とカテコールアミン分泌
血液は,いうまでもなく液体成分である血漿と,有形成分である血球とから成り立っている.喫煙時に体内に取り込まれる主要物質のうち,生理学的にも薬理学的にも最も大きな役割を担うニコチンは,血漿部分に存在してほとんどあらゆる臓器・組織に分布すると考えられている.1)
一般に,たばこ煙中物質は口腔,気道,胃腸管などの粘膜から吸収されるが,肺胞内での吸収が最大で,2)ニコチンはたばこ煙中濃度や吸煙条件に従って,異なる濃度で血中に証明される.喫煙時のニコチン吸収は極めて速やかであり,肺喫煙時には図1に示されているように,3)1本のシガレット喫煙後10分前後に,血中濃度はピークに達する.口腔喫煙では血中濃度のピーク値が低いのみならず,血中への出現時間も肺喫煙に比べて遅れることがうかがわれる.
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