喫煙の生理・衛生学・5
喫煙と循環機能
浅野 牧茂
1
1国立公衆衛生院生理衛生学部
pp.1421-1424
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919426
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喫煙時の心臓・血管機能変化
初心者が喫煙した際,あるいは常習喫煙者でも過量の喫煙をした場合には急性ニコチン中毒症状が現れ,悪心・嘔吐などを呈するほかに,心悸亢進や顔面・四肢末端などの冷けつ感を自覚することがある.この時には,外見上も顔面や手指・皮膚の蒼白となっているのを認めることができる.これは,心拍数増加と皮膚末梢血管収縮の反映である.
常習喫煙者であっても,その常用量,あるいは日常ペースで喫煙をしている限り,普通はこのような身体的変化を自覚することはない.ニコチンに対する耐性を獲得し,また精神的依存が生ずるので,適量・適時の喫煙は,ある種の満足感あるいは充足感をもたらすが,急性ニコチン中毒症状を生じさせることはないのである.
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