喫煙の生理・衛生学・2
喫煙と呼吸機能
浅野 牧茂
1
1国立公衆衛生院生理衛生学部
pp.1053-1056
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922820
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喫煙時に起こるせき
たばこ煙に対する防御反応
1日に何十本もシガレットを消費するヘビー・スモーカーでも,最初の喫煙を試みたときには煙にむせ,思わずせきをしたことであろう.初心者のころのニコチン急性中毒による激しい動悸や手足の冷けつ感,顔面蒼白や冷汗,さらには悪心や嘔吐などの激しい急性症状の体験もいつか消え去って,知らぬ間にシガレットが指にはさまれているような常習喫煙者では,深々とたばこ煙を肺まで吸い込んでも,もはや何も身体的変化を自覚することはない.しかしいったん,例えば急性上気道炎にでも罹患すれば,たばこ煙を吸入することは容易ではない.激しい咳嗽発作が起こるからである.
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