ホスピス イギリスの末期医療の現場報告・10
セント・ジョセフ・ホスピス[3]—年次報告書にみる在宅ケアチームの働き
柏木 哲夫
1
1淀川キリスト教病院精神神経科
pp.1078-1081
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919068
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1977年9月から1978年8月までの年次報告より
セント・ジョセフ・ホスピスの訪問看護サービス(Home Care Service;HCS)は毎年1年間の働きをAnnual Report(年次報告)としてまとめている.筆者が同ホスピスを訪れた時(1979年7月),1977年9月から1978年8月までの1年間のHCSの年次報告書を手に入れることができた.この報告書をもとにしてHCSの働きの全体像について述べてみたい.
この年次報告書の第1ページに,イギリスのミドルセクス医科大学精神科教授であるジョン・ヒントン博士の著書“Dying”(邦訳“死とのであい”三共出版)の一部からの引用が記載されている.それには,‘死にゆく人々は家族に世話をしてもらうのを望む.それは彼等が自分らしくできるからである.病院で死に至る病いと闘うのとは違って,家庭において闘病生活を送る方が病人は自分が家族の一員であるという気持ちを持つことができる.家族にとりまかれて生活し,たとえ大きな制限はあってもその一員としてふるまうことができれば,病人はただ死を待つだけという気持ちにならないですむ’とある.
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