レポート
英国にみるホスピス・緩和ケアプログラム—セント・クリストファー・ホスピス見学から見えてきたもの(上)
近藤 克則
1
,
篠田 道子
1
,
樋口 京子
2
,
荒尾 晴恵
3
,
野間口 千香穂
4
1日本福祉大学社会福祉学部
2岐阜大学医学部看護学科
3兵庫県立看護大学
4聖路加看護大学大学院
pp.232-237
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903500
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近代的なホスピス運動は,イギリスの医師シシリー・ソンダース女史を中心に開設されたセント・クリストファー・ホスピス(St Christopher's Hospice)が発祥の地である1,2).現在では,全英で228(2001年1月)3)を数えるホスピスが緩和ケア(palliative care)を提供しており,多くのホスピスに,日本を含め世界中から視察者が訪れている.われわれ(日本福祉大学在宅ターミナルケア研究会のメンバーを中心とする)も,数多いホスピスの中からセント・クリストファー・ホスピスをはじめとする3か所のホスピスを見学する機会に恵まれた.
それぞれ歴史・特徴の異なる三つのホスピスに見学を申し入れたのは,ホスピスによる違いが相当あると予想していたからであった.しかし,実際にホスピスを見学してみて,強く印象に残ったのは,ホスピス間の違いではなくむしろ共通性であった.「ホスピスは建物や場所よりも,むしろケアの哲学。原理(philosophy)を意味する」1,4)ものとして,まさに共通する「哲学・原理」に支えられていた.
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