検査を築いた人びと
神経反射検査法を確立した ジョセフ・バビンスキー
酒井 シヅ
1
1順天堂大学医史学
pp.504
発行日 1984年6月1日
Published Date 1984/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203057
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現在,神経疾患の診断には,脳波,筋電図,CTスキャンなど電気生理学的あるいはX線やコンピューター利用による大がかりで複雑な機械が使われている.その結果,昔ながらのハンマーと針一本だけに頼る種々の神経反射の検査は,一般に軽んぜられがちになっている.この傾向を有識者は憂い,神経反射検査法を体系化したバビンスキーの名を借りて,"バビンスキーに帰れ"と主張する.
ジョセフ・フランソワ・フェリックス・バビンスキーは1857年11月2日,パリに生まれ,1935年にパリで亡くなる.生粋のフランス人かと思うと,そうでもない.その名を示すように,両親は1848年にパリに亡命したポーランド人であった。彼には2歳年長の兄がいた.二人は生涯独身で通すが,技術者であった兄は弟の身の回りの世話をいっさい引き受けていた.弟が医学史上に輝かしい名を残したのは,この兄に負うところが大きい.
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