学生の眼
看護婦の言動と患者のニード—3年間の学習から
大塚 清美
1
1静岡市立看護専門学校
pp.846-848
発行日 1980年8月1日
Published Date 1980/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919022
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はじめに
近年,患者中心の看護がしばしば言われているが,果たして実際の臨床においてそれがなされているであろうか.私は1年次に骨折で入院し,患者として,また将来看護を目指す者として,そこでの看護者のあり方や提供されている看護に対し少なからず疑問を持った.患者理解という点では,まず何よりも患者とのコミュニケーションが必要となってくるが,実際には検温や処置以外の看護者の訪室はなく,看護者は自分の気持ちをほんとうにわかっていてくれるのだろうかと不安を抱くとともに,言葉の端々に看護者の冷たい態度すら感じたのだった.
看護について学び始めて問もない1年次には,一個の人間である患者を看護する者は,人に対する思いやりの心を常に持つことが,何より大切なことだと思った.そして,2年3年と学習や実習がすすみ,患者と多く接するなかで,看護は科学的なものでなければならないが,やはり思いやりの心が第一であると痛感した。そこで私は,私自身の入院体験と看護学校での3年間を通し私が学習した患者中心の看護を,看護者と患者とのコミュニケーションのあり方から考えてみた.
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