リハビリテーション看護を考える・3
患者のニードとチームワーク
上田 敏
1
1東大病院リハビリテーション部
pp.410-412
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916279
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患者のもつ問題とは
前回のKさんという若い主婦の片麻痺の例を覚えていていただけただろうか.身体障害者を見舞う離婚の危険,それは若い人だけに限られるものではないし,女性に限られるものでもない.身体障害者になったが故に妻に逃げられた夫の話にはことかかないし,逆に両大腿切断者となる過程で最初の妻に去られながら,新たな妻の愛情を得てりっぱに社会復帰をなしとげた感動的な人間像にも時には触れることができる(そのような砂漠の中のオアシスのような存在があるからこそ,私たちはこの「リハビリ」というしんどい仕事を続けてこれたのだと言えるのかもしれない).
ところで,離婚の危険ということは,身体障害者をおそうもろもろの悩みや危険のわずかな一例でしかない.実は不幸というものは,日頃は元気な人間の周りには近寄れず遠まきにして狙っていて,何かひとつ弱点が起こると,傷ついた獣をおそう禿たかのむれのようにむらがり集まってきていちどきに心を責めさいなむのである.不幸とは決してひとりでは訪れて来ないものなのだ.
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