特集 ニードにこたえる
看護におけるニード
小玉 香津子
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.702-707
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207457
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ニードneedあるいはニーズneedsは看護領域の術語ではない。ニードとは文字どおりに必要であり,また不足である。人々の健康上の必要health needsにこたえるのがヘルスケアあるいはそれが組織化されたヘルス・サービスで,健康上の必要のなかには看護の必要nursing needsがあるが,それにこたえるのがヘルスケアの一部である看護ケア,あるいはヘルス・サービスの一部である看護サービスである。
ヘンダーソンは"人間の基本的な欲求needsにもとづく基本的看護"を説明したが,この場合のニードは心理学領域の術語である。人間が行動をもって満たそうとする欲求のことである。ヘンダーソンは,人々が,基本的欲求にもとづく生活行動を健康に資するように,すなわち自分の健康の保持や増進や回復にプラスになるように行なうのを助けることを基本的看護と呼んだ。この"助ける"は人々の"援助の必要"にこたえてなされるのであって,ここに出てくる"必要"が"ニードにこたえる"のニードである。ウィーデンバックはこれを明解にneeds for helpと表現した。needs for helpはもう看護領域の術語といってよいかもしれない。
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