ベッドサイドの看護
エーラー・ダンロス症候群患児への言語的かかわり
的場 シモ
1
,
小笠原 嘉祐
1
,
高階 見伎子
1
1国立療養所菊池病院東2病棟
pp.610-614
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918975
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はじめに
本事例は,精神発達遅滞を伴ったエーラー・ダンロス症候群と称される極めてまれな疾患であり,先天的に皮膚,血管,骨等の脆弱性を特徴としているため,入院前の家庭では極度に保護的に育てられていた.そのため,わがままで引っ込み思案,他人まかせ,日常動作も自立しておらず,言葉も有意語はほとんどなかった.
この子供を受け入れるときに,家族はもちろん,私ども看護者も,多動児,てんかん児を中心とした動きの激しい病棟の雰囲気のなかで,うまく療育できるかと不安を抱いていた.そこで身体面では保護しながらも,積極的に行動範囲を広げ,患児間の交流を促し,意味のある言葉を増すために,いろいろな機会をとらえ,言葉かけを行った結果,対人,情意,言語面での伸びがみられ,動作も活発で積極的になり,状況に適した言葉が使えるようになってきた.そこでその療育の経過を述べ,結果を考察する.
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