焦点 事例研究と看護記録
Conference・素材
痛みを持つ患児と看護婦のかかわり
矢内 由
1
1神奈川県立足柄上病院
pp.195-200
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200617
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Ⅰ.はじめに
悪性新生物に侵された人の疼痛は,時として麻薬まで使用しなくては耐えられないほどであることは,経験上よく見聞きすることであるが,小学6年から中学1年という,普通は一番健康で元気に飛び回っている時期を,ほとんどベッドに臥床したまま過ごさなくてはならなくなった児の,その大腿部の骨肉腫からくる疼痛を思うと,胸をしめつけられるものがある。
そんな児の"歩きたい""走りたい""踊り回りたい"というつぶやきは,疼痛の訴えを越えた心からの願いであり,大きな叫びだったに違いない。現代の医療では,治癒の見込みがないばかりか,どんなに歩かせたいと思っても,それすらさせてあげられないというもどかしさでいっぱいだが,一日中持続する疼痛を看護婦として受け止め,緩和し,残された時間を大事にしてあげたいと考えながら児とかかわった過程をここに報告する。
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