Japanese
English
特集 頸椎の異常とリハビリテーション
Down症候群患児にみられる頸椎の異常
Cervical-Spine Abnormalities in Children with Down's Syndrome.
井澤 淑郎
1
,
大成 克弘
1
,
黒木 良和
2
Toshiro Izawa
1
,
Katsuhiro Ohnari
1
,
Yoshikazu Kuroki
2
1神奈川県立こども医療センター整形外科
2神奈川県立こども医療センター遺伝科
1Department of Orthopedic Surgery, Kanagawa Children's Medical Center.
2Department of Genetics, Kanagawa Children's Medical Center.
キーワード:
環・軸椎不安定性
,
環椎歯突起間距離
Keyword:
環・軸椎不安定性
,
環椎歯突起間距離
pp.615-620
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104369
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はじめに
Down症候群は,1866年,Downが白痴の人種的分類を試みたことによって独立疾患として広く認められるようになり,さらに1959年,Lejeuneらによって人類最初の染色体異常症であることが確認された.その後,本症候群に関する種種の知見が報告されて来たが,1961年にSpitzerら1)が本症患児の上位頸椎,とくに環・軸椎間の偏位,すなわち脱臼あるいは亜脱臼が比較的しばしばみられることを報告して以来,Tishlerら2)(1965),Martelら3)(1966),Greenberg4)(1968),Sherkら5)(1969),津田ら6)(1977),Semineら7)(1978)によって環・軸椎間の不安定性および形態異常に関する報告が相次いで行われて来た.
一方,このような頸椎異常が存在するにもかかわらず,脊髄麻痺にまで進展する例は稀で,Dzenitis8)(1966)によって13歳,女子例が最初に報告されて以来,現在までに自験例3例を加えても内外の文献上の報告例は20例にも達していない.
そこで,本稿では本症候群における頸椎,とくに環・軸椎の変化について自験例を中心に述べるとともに,これと環・軸椎間の不安定性との関連について考案し,さらに本症患児のリハビリテーションにおける問題点についても述べてみたい.
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