学生の眼
痛みの続く患者への援助をとおして学んだこと—注射によらない疼痛緩和を試みて
阿部 奈穂美
1
1神奈川県立病院付属高等看護学院第一看護学科
pp.510-516
発行日 1980年5月1日
Published Date 1980/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918955
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はじめに
癌性疼痛は,消えることのない,また希望のない痛みといわれる.またその痛みを鎮めるためには,最終的には麻薬を用いるしかないともいわれる.そのような痛みを持つ患者を受け持ち,鎮痛剤以外の何らかの看護的な方法で疼痛を軽減させることが可能ではないかと考え,実習を行っていった.そのなかで,痛みの続く患者に対しては,鎮痛手段そのものばかりに目を向けその効果をうんぬんする前に,その患者の持つ‘痛み’そのものについて,より詳しく知ることが重要なのではないかと気がついた.例えばその人の痛みはその人に,精神的にまた身体的にどういうかかわりを持つのか,またその人自身が自分の痛みをどうとらえているのか,などについてである.‘その人の痛み’そのものについての考察を深め,痛みに対し看護者も共に取り組んでゆくことが最も重要なのではないかと,この実習で学んだ.
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