特集 母子の継続看護を実現するために
受持ち制看護をかえりみて—事例をとおしてみた母性への援助
石井 孝子
1
1慶応義塾大学病院新生児室
pp.1025-1030
発行日 1985年12月25日
Published Date 1985/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206775
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はじめに
施設内分娩が99.7%となった今,かつて地域と密着し,その中で母子保健活動の推進役であった開業助産婦の役割が,社会の変動に対応して施設内で展開されようと試みられている。地域社会に根ざした母子の援助には個別性があり,個々のニーズに応えられたゆえに,そこにはケアの連続性があった。一方,場を施設に転じると,あまりにも援助過程が細分化され,そのほとんどに継続性のないケアの現実が浮かび上がってくる。
現代の核家族の育児についての最大の悩みは不安であると言われている。妊娠・分娩。産褥の1年間は女性の一生を通じて,心身ともに大きな変化をとげる時期である。したがって各期間の母子の安全と安定が望まれる。なぜならば,社会を構成する核の部分である母子の健全な成長は,健全な乳幼児期・学童期・思春期へとつながっていくからである。
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