特集 難病へのアプローチ
在宅難病患者・家族への訪問援助—筋萎縮性側索硬化症のSさんをめぐって
佐藤 和子
1
,
佐藤 富子
2
1大師保健所
2在宅看護研究会
pp.45-51
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918856
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
長い間,病院の天井や壁と面と向かいあうことを続けてきた病んだ人々は,‘家に帰りたい!’と叫び続けている.あまりにも人間的なこのひたすらな叫びは,困難な環境の中にもかけがえのない〈闘病の場〉をつくり出そうとしてきている.
筋萎縮性側索硬化症と診断されたSさんは,公立病院を退院した1976年12月,川崎の自宅にこの〈場〉をつくった.人工呼吸器をつけ,痰は吸引器でとり,食事は経管栄養で,といった自宅療養は,奥さん,息子さん夫婦によって支えられてきた.不安を抱きながらも,よりよい闘病の場を求めていた家族に,1979年4月,地域の援助チームとのかかわりがもたらされた.公立病院医師の診察後,保健所保健婦と在宅看護研究会看護婦との週1回の定期訪問が開始されてから,看護目標を1つにした援助ケアがすすめられてきた.こうしたかかわりは,援助チームとの協力したケアを広げることになった.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.