特集 病名を告げえない状況のなかで
自分の心をさらして患者と対峙したい
阿部 玲子
1
1横浜市立市民病院
pp.1258-1262
発行日 1979年12月1日
Published Date 1979/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918832
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はじめに
看護婦になって10数年,たくさんの患者と出会った.健康をとり戻し,社会復帰してゆく患者は入院患者のうち約90%であろうか.しかし残り10%の中に病名も告げられず焦燥と不安に悶悶として時を送っている患者がいる.いわゆる‘不治の病’といわれる病名の人たちである.
本来自分の病気の真実について知る権利があるはずなのに,今日の医療の実態はそれを許さない.‘知らせるべきだ’と単純に言い切れないところに現場の者としての切ない苦しみがある.
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