理学療法の現場から
社会と対峙する最前線
江西 一成
1
1星城大学リハビリテーション学部
pp.401
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100485
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臨床現場を離れて5年目となる.この欄は不適任なのかもしれないが,かつての現場経験で培い,現在の立場でいっそう強く感じている私見を述べさせていただく.
理学療法に限らず医療関係職ならば,必ず「臨床・教育・研究」という三本柱を基盤に据えている.この三本柱はそれぞれに明確な役割を持ちかつ相互に連携もしており,そこには優劣や上下などはないはずである.ところが,教育の場に身を置くと,そのようなことが存在するかのような雰囲気を感じさせられることが多い.臨床に携っていた頃にこのようなことを感じたことはなく,むしろ臨床現場こそが社会と接する第一線であるという自負を持っていた.しかし,さらに過去へ遡ると,最初からそういった感情を持っていたわけではなかったことにも気付く.自負を持てるようになったのは,自分が行っていることへの周囲からの支持とある程度の自信を得てからだった.もしも,そうでなかったら,私もこのような雰囲気の中に埋没していたのかもしれない.そう考えると,「臨床・教育・研究」という枠組の優劣は,私たち自身やこの業界自体にそう感じさせる土壌があるのではないかと思えてくる.
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