特集 看護の現場を問い直す
制約と限界のなかで—進学課程での教育を考える
小出 順子
1
1自治医科大学付属高等看護学院
pp.824-827
発行日 1979年8月1日
Published Date 1979/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918740
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看護教育の現場にいる者は,今現実に行っている教育が看護の将来を決定するという意味で重い責任を負わされている.現在,看護者には,本来の看護の機能を十分に果たすことが強く求められていると同時に,良い保健医療を提供するためのチームにあって,ほかの専門職者との良いチームワークを果たしていく能力も求められている.つまり看護者には,対象との1対1の人間関係と,協同して働く人びととの人間関係を成立させるという課題が与えられていることになるが,これははっきりした目的意識をもった,よく訓練された者でなければ果たせないもののように思われる.
しかし現在の看護教育では,求められる者を育てる方向への体制をなかなかとれないままでいる.教育課程も多様で各々が大きな問題を抱え,課題と現実のアンバランスななかで,できる限り課題を達成していこうと様々な模索を行っている.そのあせりから,ともすれぼ力みすぎ,生真面目になり過ぎることがあり,その結果は,卒業していった者たちへの,方法論に縛られ柔軟性を欠いた行動しかできないという評価となって現れてしまっている気がする.
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