特集 看護するなかの‘慣れ’
体験レポート
‘慣れ’の心に立ち向かう姿勢を
熊坂 真知子
1
1千葉労災病院内科病棟
pp.488-491
発行日 1979年5月1日
Published Date 1979/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918670
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はじめに
私たちには,看護婦として必要なあらゆる技術の修得が要求されている.しかし,技術を修得し,看護婦としての自分に自信を持ち始めるころより,この特集のテーマとなっている‘慣れ’を感じるのではないかと思う.この‘慣れ’というものは,私たちが行う行為の1つ1つを,ごく当然のことのように感じ,そこになんの疑問も持たない方向へと導いていく.その方法が患者にとって最良であるのか,もっと良い方法があるのではないか,という疑問を常に持ち続けることによって,私たちは,生きた看護ができるのではないかと思う.1人1人の‘慣れ’の心が,看護の発展の妨げになっていることは事実である.
私は,看護婦になって6年を経過する.自分を振り返ってみても,今なお,慣れを感じないことはない。患者のためにも,よりよい看護を求めようと努力したが,自分自身が未熟であること,旧制度の看護婦の威圧的な態度に流されてしまったことなどで,思うようにいかないことも多くあった.しかし,そんな中での患者の一挙一動は,私に考える機会を与え,どうにかしなければという支えになってくれたのである.私に考える機会を作ってくれた事例を通し,私の歩んできた道を振り返ってみたいと思う.
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