学生の眼
老人性難聴患者へのコミュニケーションの工夫
宮本 圭子
1
1東京都立豊島看護専門学校
pp.402-406
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918650
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
老人患者の入院は,疾病に加え老人性の身体的・精神的変化が,疾病の回復を阻害することがある.今回,前立腺腫瘍の85歳の患者を受け持った.患者は,前立腺腫瘍からくる疼痛に加え,老人性難聴があり,相手の話を聞く態度に,軽々しさや面倒くさそうな態度がみられ,自分にとって必要なもの以外は聞かないと話し,患者とのコミュニケーションの難しさを感じた.一方,患者も病院生活の中で自分が疎外されていると感じているようで,看護者に不満をぶつけずに,家族にあたることが多かった.
私は,この難聴のある老人が病院生活に適応するために,コミュニケーションをいかにとっていくかが重要であると感じた.そこで今までに発表されている文献を調べてみたが,老人性難聴に関する具体的働きかけの研究は見当たらなかった.この研究では,毎日の看護活動のなかで,老人性難聴の患者に対し,どのような働きかけをしたらよりよいかということを中心に検討し,まとめてみたいと思う.なお私の受け持ち期間は昭和52年11月15日から12月2目までの,土曜日と日曜日を除く13日間である.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.