特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅱ.難聴診療NAVI
6.老人性難聴
柿木 章伸
1
1東京大学医学部耳鼻咽喉科
pp.61-64
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102134
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Ⅰ はじめに
老人性難聴とは,加齢変化に伴い徐々に進行する両側性感音難聴である。特徴的な症状としては,主に高音域から始まる最小可聴閾値の上昇,音情報の中枢処理の遅延,音源定位の悪化などが挙げられる。発症頻度は,65歳以上で25~40%,75歳以上で40~66%,85歳以上で80%以上と推定される。
初発症状としては,騒音下での聴取能の低下を親近者に指摘されることが多い。難聴が進行するにしたがい,子音の弁別が困難となり聞き返しが多くなってくる。さらに進行すると,母音の弁別も困難となりコミュニケーションが著しく障害される。最小可聴閾値の上昇は高齢になるにつれ加速していく。難聴の発現時期や程度には個人差が大きく,同年代では男性に比して女性のほうが難聴は軽度であることが多い。
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