第2回死の臨床研究会特別講演より
医学と看護は死にゆく患者と家族に何を与えることができるか—40年の私の臨床経験をとおして
日野原 重明
1
1聖路加看護大学
pp.388-400
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918649
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医学と看護は単なるサイエンスではない
わたしの今日の講演では,40年余りの臨床経験の中で,わたしの考えがどういうところにたどり着いたか,ということをお話しいたします.
今までの近代医学の歩みを考えてみますと,サイエンス(自然科学)としての医学がやっとここで本番になるという感じがするわけであります.サイエンス(science)のうちでも,この医学は,一般人には非常に高く発達しているというふうに了解されております.日本の陸海軍は,世界的に冠たるものがあるという自負をもって太平洋戦争に突入したわけでありますが,戦争のふたを開けてみると,日本の軍隊はレーダーのない状態で戦争していたということがわかり,非常にお粗末であったことに気づいたのであります.同じようなことが,やはり医学にも言えるのではないかと,わたしは思っております.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.