Japanese
English
特集 老人
死にゆく人々へのケア
Care of the Dying Patient.
斎藤 武
1
Takeshi Saitoh
1
1聖隷ホスピス研究室
1Seirei Hospice.
キーワード:
ケア
,
ホスピス
Keyword:
ケア
,
ホスピス
pp.907-911
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104831
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はじめに
日本人の70%以上が,人生の終焉の時を病院で過している.とくにガン患者の場合はその約82%が病院で死を迎えている.この大多数の人たちは,病院でいかなる時を過し,死を迎えているのであろうか.急性疾患や突然の事故等による死は別としても,慢性の病気やガンなどのようにある程度病気の進み具合がわかり,近代医学では治癒のための治療方法がないと分ってからも医師は検査や治療行為を続ける.一秒を一分にするために最大の努力がはらわれるのである.
一分一秒の延命のために,患者はチューブや酸素テントでベッドにしばりつけられ,家族や親しい友人たちとも隔絶させられてしまう.時によると患者がいくら痛みを訴えても病院ではすることがないという理由で自宅に帰される.末期患者の多くは「最後の瞬間まで延命に全力を注ぐ」というたてまえと「医学的にはなすべき治療法」がないという本音の間で,痛みや不安に耐えていかなければならない.ことにわが国では本人や家族に,真実や正しい情報が伝えられることが少ないので,患者たちの孤立感は増大する.
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