ベッドサイドの看護
死にゆく患者の心理に関する—考察
加藤 由美子
1
1札幌医科大学附属病院
pp.173-178
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900054
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1984年1月に発病し,その間,8回の入退院を繰り返し,15歳から20歳という,患者にとってアイデンティティの確立という最も多感な時期を,癌と向き合い真剣に生きてきた事例を経験した.末期に入り最期まで「大丈夫だよね,大丈夫だよね」と自分自身に,家族に,医療者に繰り返し問い続け,死の影に脅えながらも最期は入眠したまま安らかにその時を迎えた.
末期癌の患者の心理状態は,非常に個別的であり,性格,生きてきた背景,その他諸々の要因が影響しているといわれる.この事例の,青春そのものであった5年間の闘病生活の中から,これらの要因を分析し,末期癌患者の心理に関して若干の考察を加えたので,ここに報告する.
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