特集 援助の可能性と限界
病気にしがみつく人との闘いのなかで
藤田 郁子
1
1東京衛生病院
pp.1039-1041
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918510
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8月の初め,メニエル症候群ということで御主人に付き添われて入院してきたTさんは,真夏だというのに寝巻きを何枚も重ね着していて,そのうえ毛糸のショールをはおっていた.顔は青ざめて苦渋の色がみられたが,どこか放心したような表情をしていた,
病室に入るなり,ベッドにくずれるように横になった.そして数週間前から風邪をひいていて寒くて仕方がないという──クーラーを切り,湯タンポを入れて,更に2,3枚毛布を重ねた.
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