特集 援助の可能性と限界
精神科における援助—その多様性と無限性
柴田 恭亮
1
1鹿児島県立鹿児島保養院
pp.1042-1046
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918511
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はじめに
援助という言葉のあいまいさに当惑しながら,それを‘生業’(なりわい)としている私の援助観を語るとすれば,やはり私のバックグラウンドである精神科での経験をもとにせざるをえない.
精神医療の内容,特に援助の仕方は,人間性に対する価値観により決定されるとっても過言ではない.これは精神障害者が人間としての尊厳はもとより,生きる権利すら否定された時代があったという歴史的事実や,患者の復権が高らかに叫ばれている現代といえども,精神医療に携わる人びとの価値観の違いや歪みによって,病院間,はなはだしきは病棟間においてすら,援助の内容・方法に著しい格差があることからも明らかである.
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