病める心の人とともに・9
薬物療法をすすめるなかで
羽生 りつ
1
1国立武蔵療養所
pp.971-974
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918494
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自然寛解と言いはる人
ロの字型の男子治療病棟をひと回りして診察室に近づくと,医師と患者さんとの話し声が聞こえてきました.入口のドアは開かれており,中でF医師がS患者と面接中のようで,向かい合って腰掛けています.私も片隅の椅子にそっと腰をかけて,その会話を聞かせていただくことにしました.
‘S君,大分良くなったね’と医師はSさんの安定した精神症状を喜ぶかのように,ニコニコした顔で彼に話しかけます.
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