Japanese
English
巻頭言
高齢者の意思決定をすすめるために
Encourage Self-determination for the Elderly
堀内 ふき
Fuki Horiuchi
pp.4
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
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- Abstract 文献概要
人はどのように一生を終えるのだろうか.生まれいずる時に場所が選べない,と人は言うが,では,高齢者が亡くなる時にはその時と場所を選べるのだろうか.人は生きてきたように死んでゆく,と言われたりもするが,誠心誠意生きてきた人であっても思うように亡くなることができなくなってきているように思う.最期の時に,自分の人生に満足して死んでいける人はいったい何人いるのだろうか.
そもそも人の8割は65歳以上になってから亡くなる.そして,8割以上が病院で亡くなっている.出産が病院へと集約されてきたのと同じように,亡くなる時も病院が普通になって久しい.そして,数年前までは,高齢者に終末に対する希望を訊くと,「畳の上で家族に囲まれて死にたい!」という人がほとんどを占めていた.しかし,このように言う人は年々少なくなり,いまや,家での看取りを希望する人は半数程度になってしまっている.自分の希望を伝えることさえ,諦めているかのようにもみえる.在宅ケアに関するサービスを充実させ,かかりつけ医を決めたとしても,この流れを逆に回すことは難しいように感じている.
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