ベッドサイドの看護
意思表示のはっきりしない老人患者への援助
大下 信子
1
,
中村 光江
1
,
野俣 春美
1
,
土田 美智子
1
,
和田 知恵子
1
,
千野 寿子
1
1稲田登戸病院整形外科病棟
pp.842-845
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918466
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はじめに
老齢人口が増加している近年,当病棟においても老齢患者は昭和51年度入院数のほぼ20%を占めている.老化に加えて,病的変化により安静を余儀なくされたことに端を発し,長期臥床状況におかれ,寝たきり老人になってしまうケースも多く,看護上にも種々の問題を投げかけている.
ここに述べる事例の患者も肺結核,結核性左股関節炎,さらに結核性左膝関節炎と次々に起こってくる身体的変化に加え,老人特有のがんこさと内向的な傾向は例外なく顕著であった.家族からは,入院させたことによって責任を回避したかのような態度がうかがえ,患者の悲そう感を増してしまった.そのような状況の中での手術の決定,転棟による環境の変化などが重なり,意思表示がはっきりしない毎日が続いた.そのままでは疎外感に輪をかけてしまい,生きたいという意欲すら失ってしまうようになることは明らかであった.
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