連載 In the assisted living シアトル・高齢者ケア事情・4
生前意思表示―あり? なし?
北野 敬子
1
1アシステッド・リビング
pp.370-373
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100425
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「痛い,痛い! 腰が痛い」.
ジョン氏(91歳,男性)は食堂のテーブルから立ち上がりながら叫んだ.入居者アシスタント(Resident Assistant, 以下,RA)のアリサが急いで介助に行き事情を聞くと,ジョン氏は席を立とうとして腰に痛みが走り歩けなくなったそうだ.アリサは車椅子を用意しジョン氏を部屋へ連れて帰り,すぐ私のところへ連絡してきた.「また始まったな」と思いながら,私はジョン氏の部屋へアセスメントに行った.
ちょうど1年前の今頃だった.同じようにジョン氏は腰痛を訴えた.身体アセスメントからはとくに著明なデータは得られなかった.転倒や事故もない.ジョン氏が腰痛を訴えた当初,この腰痛は不必要に力を入れて歩行器を使用したための筋肉痛ではないかと疑われた.また,腰椎圧迫骨折歴もありそこから来る痛みの可能性も考えた.
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