特集 実践のなかでの体験と学び
‘人間らしさ’を求める内なる声—助産婦としての生きざまを振り返って
山西 みな子
pp.699-708
発行日 1978年7月1日
Published Date 1978/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918436
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はじめに
かつて,内科学の最高権威である冲中重雄先生は,御自身の診断の誤診率を公表され,話題になったことがあった.
当時,先生の見識の高さに驚がくしたものであるが,看護の仕事も,そのように,本当はこれが正しい看護で,私はこのような誤った看護をした,その‘誤看護率’はどれだけであるというようなことが言えるであろうか.もし,そういうことが可能だとして,それが看護婦としての見識の証であると評価することができるのだろうか.おそらく無理であろう.それは,看護を仕事としながら,‘正しい看護’を真理として追求するという理念が今までは乏しかったために,その場限りの仕事として片づけてきたことによる.近年は先輩たちの業績についても,自分のもつ‘正しい看護’の真理に照らし合わせて追求してみようという姿勢をもつ若い人もふえて,喜ばしいことであり,‘正しい看護’とはこれだという手応えをもつ人も多いと思われる.私も試行錯誤の中で求めてきたものを述べ,批判を受けたい.
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