特集 老人のターミナルケア
老いの生きざま,死にざま
樋口 恵子
pp.485-489
発行日 1980年5月1日
Published Date 1980/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918950
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老いは選べるが,死は選べない
老いは人間にとって自ら選ぶことの許された最後の時間だ,と私は思っている.老いの生き方は選ぶことができる.しかし,死は選べない.いつどこで,どんな死に方をするか,それを選べないことはまことに理不尽であり,だからこそ,他人の死に,他の生者がどうかかわるかが問われるのだと思う.また,死を選ぶことができないのは理不尽だという思いが募れば,いやでも安楽死の問題に突き当たるだろう.それぞれ,できれば考えたくない問題だが,避けて通れない時期がそろそろやって来たようだ.
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