発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906937
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まがきに亂れ咲く黄色い小菊が,破損している垣根をすつかりおおいかくし,庭木一本とてないガランとした農家の前庭に美しい彩どりを添えている風景はよくみかける。トタン屋根が重り合い小さい小屋がひしめき合う町のはずれの一角で,フト見上げた眼に物干臺に置かれた朝顏の小鉢が一つ,二つ,早朝はきつと見事に開いたものであろうが,今はしなびた花が二つ三つついたまま其の家の主人の好みをもの語る風情。
せまい乍らも……埴生の宿も……何處も變らぬわが家のうるおい。
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